馴れ初め話

【馴れ初め 長編】嫁は本当に「好みの女性のタイプ」という自分の持ってるイメージの、はるか斜め上を行ってた。

 

嫁は本当に「好みの女性のタイプ」という自分の持ってるイメージの、はるか斜め上を行ってた。

 

 

 

 

学生の頃、下宿していた場所に程近いところに、
新しい喫茶店ができた。


記念品くれるって書いてあったので、

暇なツレと二人でいったら、
その店は感じのいい年配の夫婦二人だけでやっていた。


男二人でコーヒー飲んで、記念品のキャンディだったかを貰ってその日は帰った。


何日かモーニング食いに通っていると、
ある日、いつもとは違って、若い女性がオーダー取りにやってきた。


エッ?なんで?って思うくらい、本当にものすごく綺麗なコだった。

俺は、普通の四年制大学に在学中だったし、
場所が京都市内だったから、若い綺麗なコは結構見ていたと思うけど、
もう桁が違った。


品が良くて清楚で、スラッとしてて適度に身長が高く、
透明感があって、小顔で顔のつくりがよく、

柔らかく安心できる笑顔をしていた。


いつもと同じものを頼んで、
待ってる間スポーツ新聞読んでたりしてたんだと思うけど、

意識は当然さっきのコに全部行ってた。

本当に「好みの女性のタイプ」という自分の持ってるイメージの、
はるか斜め上を行ってた。


それでも、そんなにジッと見てるわけにもいかないだろうから、
チラ見してたくらいだったと思う。





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(今でも)ヘタレな俺は、その当時、当然付き合ってるようなコもいなくて、

大学のツレの男と遊んでいるような有様だった。

無論、声など掛けられる訳もなく、それから1年くらい、
ほとんど毎日そのコ目当てに通っていた。



それでも、そのコがいるのは、行った日の6割から7割くらいで、
あとはアテが外れてばっかりだった。

(デートにでもいってるのかな。くらいは考えたけど・・・なんせ、あの綺麗さだったし)


それでも、本人はもとより、店の人にそのコのプロフを聞くことなどできるはずも無く、
本当に、単なる(モーニングばっか食いにくる)常連客の一人に過ぎなかったと思う。


そのコを見ていられれば、それだけでとても嬉しかった。

どうにかなる。あるいはどうにかする。

なんて、へタレの思考回路にはなかった
(とてもじゃないが、手が届くなんて思えなかった。

なにかアクション起こしても、バッサリ斬られるのがオチ。

と思っていた。

それで気まずくなって、顔見に店にいけなくなるのもいやだったし、
見ていられればそれでよかった)。

それでも、転機は、本当に、ある日突然やってきた。



一年ほど前に開いたその店が、
市内の別の場所に移転することになったという張り紙が、
店内に貼られていた。


こんなに早く?とも思ったが、比較的小さな店だったし、
新しいマンションの一階にあったので賃貸店舗だろうから、
そんなこともあるか、くらいだった。


それでも、とても残念だった。


ここにあれば、暇に託けてくることもできるけど、
向こうに移転されては、さすがに行けなくなってしまう。
(そこまでしてくるのは、なにかあるのか?と勘繰られるだろうし・・・ヘタレの思考だ)


一方で、これはすごいチャンスじゃないか?とも思った。

凸して駄目でもそれまでだ。と思える状況が目の前にあった。


放っておいても、どうせ数日で全部がなくなるのである。

このくらいのお膳立てがなければ、絶対声なんて掛けられなかった(と今でも思う)。


その店を閉める日に、その店はランチもやっていたので、
朝モーニング食いに行ったとき、昼に部屋に居なければならない事情があるので、
すまないが出前をしてもらえないか?

とそのコじゃない年配の女の人に頼んだ。

俺は、割とその人に受けが良かったようで、出前はやっていなかったが、
すんなり引き受けてくれた。(後で分かったのだが、その年配の女性は、彼女の母親だった)



昼までの時間を、テレビを見たり本を読んだりして過ごしていたと思う。

12時頃にチャイムが鳴った。結構ドキドキしながら玄関のドアを開けると、
年配の女性の方が持ってきてくれていた。


「ありがとうございます」とか言って受け取ったと思うのだけれど、
内心無茶苦茶ダメージを受けていた。


一時頃に取りに来るから、といわれ、食った定食の味は、
食いなれているはずなのに、全く覚えていない。


さっさと食い終わって、玄関脇に食器を出してどこかに行こうか。

とか考えていたと思う。

持ってきたのが年配の方だとしたら、引きに来るのもそうだろうし。

若い男のところに、若い女性を遣るはずもないか。と考えていた。


そんなこんなで、食器を出すこともしないまま、一時になった。


また、チャイムが鳴った。食器をまとめて持ち、玄関を開けた。


ドアをあけたまま、俺は、固まっていたと思う。

どうリアクションすればいいのか、分からなかった。


彼女が、来ていた。店内以外で始めてみる彼女は、
明るい日差しの中でとても綺麗だった。

「○○○(店名)です。お皿を取りに伺いました」

オーダー以外で、初めてした会話ともいえない会話だった。



「すいません」とか俺はいったと思う。

彼女の台詞はよく覚えているが、自分がどういったのかは曖昧だ。

皿を手渡し、彼女はそれを下げていた籠に入れた。

「ありがとうございました」

と、すごく爽やかな笑顔で言うと、彼女は少しお辞儀をした。


「店、移転するんですよね」

なんとか、話を繋ごうとして、でたのは、そんな言葉だけだった。

「はい。△△△(地名)に新しいお店が出来るんです」

「ここの店が閉まってしまうのは、残念ですね」

本心でそう思っていた。もう顔を見ることも出来ない。

△△△は、同じ京都市内ではあるが、結構遠かった。

偶然行くような距離じゃない。


実は、彼女に渡そうと、ある映画のペアチケットを買っていた。


どちらかといえば、恋愛系の映画で、二枚つづりのそれは、確か切り離し無効だったと思う。


二枚とも渡して、「もし一緒に行く人がいるのなら、
そのチケットは二枚とも貴女にプレゼントするから、
誰からもらったとか何も言わないで、その人と行って欲しい。


そうでなかったら、○月△日の□時に、三条のその上映館の前で待っているから、
よかったら、そのチケットを持って、来て欲しい」というつもりだった。


チケットは、さっき飯食ったテーブルの上に置いてあった。

振り向いて取りに戻れば、ほんの数歩の距離だった。

でも、俺は、取りにいけなかった。

情けないけど、動けなかった。渡して、拒絶されることが怖かったんだと思う。

やがて、彼女は「新しいお店にも来てくださいね」と笑顔で言って、店へ帰っていった。


後姿を見送り、ドアを閉めてから、
多分生まれてから初めてくらい、ひどく後悔した。


ヘタレで、男と女のことなんて何も出来ないくせに、本当に後悔した。

ラストチャンスは、終わってしまったのだ。

それからどうしていたのか、自分でもよく覚えていない。

出かけていたようにも思うし、そのまま部屋にいたようにも思う。


ただ、覚えているのは、夕方になった頃には、部屋にいたことだけだった。


いつもと同じなら、もうすぐ閉店時間ではあったけれど、

まだ、○○○(店名)開いてる。と、不意に、時計を見て思った。


一日に三度も行ったり、出前とったりするのは流石におかしいけれど、
そんなことはどうでもよかった。


チケットを手に取ると、なんとか開いててくれ、と思いながら、
急いで○○○(店名)へ向かった。まだ、店は開いていた。

テーブルにすわり、年配の女性に出前の礼を言った。

彼女が、オーダーを取りにきてくれた。

どう切り出そうか、と、相変わらず綺麗な彼女の横顔を見ながら、
そればかり考えていた。



結局、年配の女性もテーブル側に居たこともあって、
何も言い出せないまま、流石に帰らないといけないような時間になったと思う。


どうしようか、まあ、ヘタレな自分だから、
なにもできなくてもしょうがないか。

とか、いろいろ考えてはいたと思う。

迷ったまま、「すいません」と彼女に声を掛けた。

(これだけでも、頑張ったと思う)


「メモ用紙をもらえませんか」と頼んだ。

公衆電話の横に、メモ用紙が置いてあったのを知っていた。

彼女が、「どうぞ」と言って、その冊子とペンを持ってきてくれた。


礼を言って受け取ると、二枚切りとり、
一枚目には、チケットを渡すときに言おうと思っていた言葉を書いた
(正確には、少し違っていたかもしれないけど)


もう一枚には「これは忘れ物ではありません」と書いた。

(他になんて書けばいいのか判らなかった)。その二枚を、
年配の女性が厨房のほうへ入ったタイミングに合わせて、
カップを載せたトレーの下にチケットを入れた封筒と一緒に挟んで、席を立った。


レジを済ませて、店を出た。

おそらく、彼女がそのままテーブルを片付けるはずだから、

多分他の人の目に触れることなく、彼女に渡るだろう。とは思った。


指定した日は、大体一週間後くらいだったと思う。

99パーセント来るはずはないとは思っていた。

この店も今日で終わりだから、もう会うこともないだろうな。

とか考えていたと思う。



当日は、曇りだった。

これはよく覚えている。

まだ、少し寒さが残っているような気候の頃だった。

指定した時間は、多分10時だった。

俺は、15分くらい前に行ったと思う。

(普段は、ぎりぎりにしか行かないのに、
少しでも早めに行ったのは、このときくらいのような気がする)


三条大橋のほうから流れてくる人の流れを、

ずっと見ていたように覚えている。
(なんで、そっちからくるのか、知っているはずも無かったし、

反対側から来ることもあったと、今になれば思える)

俺は、その時、人の流れを見ていたようで、ほとんど見ていなかったらしい。


不意に、人影が、自分の前に立っていることに気づいた。

一瞬、誰だかわからなかった。(本当にわからなかった)

「おはようございます」と言われて、初めてその女性が誰だか判った。

おはよう、とか、そういった間の抜けた返事を、まず、したと思う。

その後で「まさか、来てくれるとは思わなかった」と、
更に恥の上塗りをするようなことを言ったのは、
情けないけれどかすかに覚えている。
(普通、こんなことは言わないだろうなあ)



「○○□□(彼女のフルネーム)です。誘っていただいてありがとうございます。
今日は、とても楽しみにして来ました」と、

彼女は、いつもと変わらないとても綺麗な笑顔で、

凛として言った。(この言葉は、今も鮮明に覚えている)


そういわれて、俺は、今まで彼女の名前も知らないことに改めて気づいた。


彼女の年齢も(大人っぽい雰囲気だったから、自分より二つか三つくらい上だろうと思っていた)、

他の何もかも、本当に何も知らなかった。


彼女にしても、俺の姓と住んでいるところを知っているくらいで
(大学生だということくらいは知っていたかもしれない。いつも暇そうにしてたから)、

他になにを知っているというわけでもなかった。

「それじゃ、いこうか」といって、映画館に入った。

上映時間までは、少し余裕があったことをなぜか覚えている。



映画を見て、食事をして、少し一緒に歩いた。

(こういうとき、京都は便利だ)

彼女は、いろいろなことを話してくれた。

俺も、いろいろなことを話した。

俺自身、あんまり女性に対して口が上手いほうでも、話題が豊富なほうでもないけど、
いろいろと話をした。


別れ際に「今日は、ありがとう。来てくれて、うれしかった」と俺は言った。

(こんなことを女性に言ったのは、多分初めてだった)そして、

「付き合っている人がいるんなら、キッパリ諦めるけど、また誘ってもいいかな。


よかったら、付き合って欲しい」といったようなことを(
心臓バクバクで)言った。(二度と言えん)

彼女は、俺のほうをまっすぐ見ていた。

しばらく、彼女は何も言わなかった。(あっ、行かないと悪いと思って、
彼氏がいるのに来てくれたのか。と、その時俺は思った。

それでも、これまで遠くから見ることしか出来なかった彼女と
今日一日一緒にいられて、嬉しかったなと、同時に思った)


そして、彼女は、俯いてしまった。

顔が見えなくなった。

肩が小さく震えているように思った。

思わず「すまない。ゴメン」と言いそうになった。


手を繋いだこともないし、肩に手を掛けていいものかどうか、わからなかった。


戸惑ったままの俺に、顔を上げると、少し、彼女は泣いていたように見えた。

振られたなあ。と、彼女を見て思った。こんなに困らせなきゃよかった。とも思った。

かなり気まずい時間だった。どうしたらいいのか、経験がほとんどない俺にはわからなかった



すこし間をおいて「うん」と、彼女は言った。

(「うん」?。え、「うん」って言ったの?。)


「ありがとう」と言って、彼女は、また、泣いたみたいだった。

「嬉しい。そう言ってくれて」顔を上げて、彼女はそう言った。

「?。いいの?」と、俺が訊いた。

「うん」もう一度そう言って、彼女はお辞儀をするように頷いた。

そういわれても、「まさかなあ」というのが、俺の正直な気持ちだった。


まさか、OKしてくれるなんて、どう考えてもありえない結末だった。


「ゴメンね。泣いたりして」と、彼女は言った。

「でも、あなたからそう言ってくれて、本当に嬉しかったの」

そういわれた俺もすっかり舞い上がってしまって、
その後何を話したのか、よく覚えていない。
電話番号だけ交換して、その日は別れた。


その日に、電話をした。(携帯なんて無かった頃だから、家族共有の固定電話だった)

「本当にいいの?」と俺は聞いたと思う。(なんて情けない質問だろう)

「うん」と彼女は言った。

そして「ずっと、そう言ってくれるのを待ってた」と言って、
電話口の向こうで泣いていた。


えぇ~!。言葉が出なかった。

驚天動地の驚きだった。まさか、そんなことを彼女が俺に言ってくれるとは、
ほとんどその時は信じられなかった。


その日は、相当遅くまで電話で話をした。

(彼女が俺と同い年だと言うことも、
家族三人で、親父さんの早期退職に伴って念願の喫茶店を始めたことも、
彼女が中高一貫教育の短大を卒業していたことなど、いろいろとその時に聞いた)



そして、彼女と俺が結婚したのは、それから5年後だった。


京都と東京の遠恋や、結婚してからの田舎ゆえの苦労など、
彼女を泣かせたことや、苦労させたことは一杯ありすぎて、
とても書ききれないけど、


彼女は、今では、母であり、妻であり、

そして綺麗な女性でもあり続けている。


一度だけ、初めて誘ったときのメモ用紙はあの時どうしたの?

と比較的最近になって、なにかの拍子に聞いたことがあった。

俺は、てっきりそんなものは、とうに捨ててしまったと思っていた。


けれど、彼女は「取ってあるけど、あなたにも、他の誰にも絶対に見せない。

私が死んだら、中を見ずにお棺に入れてもらうよう、

子供が大きくなったら、そう頼んでおくの。私の宝物だから」と、

あの頃と少しも変わらない、綺麗な笑顔で言ってくれた。



これで終わりです。


長いのに、たいして面白くない話につきあってもらって、

ありがとう。
脚色とか、フィクションとかは、全くないです。

(運がよかったと思ってます)
    
それでは。

 

 

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